コラム
修行日記④「泰山の色に耳を澄ます」

タイルに向き合う時間は、単なる制作の時間ではありません。
ひとつひとつの破片に触れながら、色を選び、置き方を試し、釉薬の表情を見つめていく。
その繰り返しの中で、僕は「タイルの技術」だけでなく、「タイルを通じて生きる姿勢」を学んでいます

窯に置く位置によって変化する釉薬の色。
偶然のようでいて、必ずそこには理由があり、歴史があり、誰かが積み重ねてきた知恵があります。

先生と共に作品を前にして、何度も置き直し、答えを探す時間。
それは「自分の正解」を探すためではなく、
「対話の中で生まれる調和」を見つけていく旅のようでした。

タイルは素材でありながら、人の手と心を通じて無限の表現へと変化していく。
そして、そこには必ず「その人らしさ」が映り込みます。

この時間こそが、今の僕にとって何よりも尊い学びであり、
未来へつなぐ力になるのだと感じています。